猫にシャンプーは必要か問題
2021/10/05
ご存知のとおり、猫は体が水に濡れることをとても嫌がる動物です。また、もともと体臭が少ないうえ、全身をくまなく毛づくろいする「セルフグルーミング」によって体を常に清潔に保とうとする習性もあります。
そのため、問いに対しては、「完全室内飼いで、皮膚の疾患等がなければ、必ずしもシャンプーをする必要ががない」とお答えしています。
ただ、猫をシャンプーすることにはメリットもあります。
例えば、猫アレルギーの予防に有効だということをご存知でしょうか。これまでの研究で、猫アレルギーを引き起こすアレルゲンである猫の皮膚や唾液腺から分泌される物質は、シャンプーをすると大幅に減らせることがわかっています。
しかし、一度低減したアレルゲン量も2日ほどで元に戻ってしまいます。そのため、根本的な改善策というよりも、猫アレルギーの親類や知人が自宅に来るときなどの一時的な対処方法として、ブラッシングや室内の掃除とあわせてシャンプーをすると症状の緩和に効果的だと思われます。
また、猫の嘔吐対策としてもシャンプーは有効です。春や秋の換毛期には、セルフグルーミングによって毛を飲み込む量も増えるので、毛玉を吐き出しやすくなります。猫は毛玉を吐く動物ですが、かといって吐く行動が体にまったく負担がないというわけではありません。
嘔吐の回数があまりにも多い場合や、セルフグルーミングを頻繁に行う猫や長毛種については、こまめなブラッシングに加えて月に1~2度程度のペースでシャンプーをしてあげるといいでしょう。
猫をシャンプーに慣れさせるためには、まずはお湯をはった桶に入れ、次にシャワーで全身を濡らすなど、小さい頃から段階的に習慣化していくことが大切です。その際、シャワーの音が苦手な猫も多いので、水流を弱めて極力大きな音が出ないように注意しましょう。
また、最近では猫のトリミングやシャンプーを請け負っているペットサロンも増えつつあります。まずはプロにお願いをして、ある程度慣れてから自宅でシャンプーをするのもひとつの方法だと思います。
最後に、繰り返しになりますが、猫にとってシャンプーは生きていくうえで必ずしも必要なものではありません。嫌がっているのに無理やりシャンプーをすると、かえってストレスによる体調不良を起こしたり、飼い主に不信感を膨らませたりと、逆結果になりかねません。猫の反応や体調を見ながら、あくまでも負担をかけない範囲で実践するようにしてください。